慶應受験記_3

20歳の俺は池袋にいた。

勉強せずに済みセリフを読んでいるだけで目立てて金が儲かる、という理由だけで高校卒業後に入った俳優の養成スクール。

他の生徒よりも講師の評価が高く、

身内で開催する舞台や映像の中心役柄にも選んでもらったこともあった。

私生活もそれなりに充実していた。

バイトは楽しく、同年代の親しい友達もできた。

昼間はスクールに通い、夜はバイトをする。

これが俺の生活だった。

ただ、自分の人生に対して本気じゃなかった。

本業の役者のスクールでは講師から出された課題に対してなんとなく努力するだけ。

自分自身で積極的に努力していたわけじゃない。

自分のやるべきことを、ただただ他人に任せている生活だった。

それなのに心の中では、

いつか大物になる

そう人一倍強く思っていた。

実績がないくせに自信だけはいっちょ前。

そんな20歳だった。

いつ実績が作れるのかと焦りながらも大した努力はせず、目の前の生活の楽しさを享受していた。

俳優という目標をあきらめるまでは。

次の話

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