本格的に勉強が始まった。
ひたすら机に向かう日々だ。
周囲の人達の反応は総じてネガティブだった。
親も予備校の先生も。
そりゃそうさ、一流大学とは程遠い高校を卒業し、なんにも知らない20歳の浪人生が慶應経済に入ろうとしてるんだから。
親からは、
慶應経済じゃなくてもいいんじゃないか。
予備校の先生からは、
なんでみんなと同じ授業受けないんだ、普通はいろんな授業を受けるんだぞ。
慶應経済じゃなきゃダメなんだ、俺はもう俺を裏切れないんだ、妥協なんてするかよ。
みんなと同じ授業?
みんなと同じ授業受けてみてぇよ。
だけど基礎もわかってない俺が受けても時間の無駄だろ。
”普通”の浪人生じゃないんだよ。
親や予備校の先生の提案にはすべてNo。
授業は予備校に在籍するのに必要な週1コマのみ。
その他はすべて自習で、市販の参考書と必要最低限の質問だけを先生にするスタイル。
本当に1人だった。
だってこんな状況から受験開始するやつなんていないだろ。
ほとんど誰も歩いてきたことのない道。
俺は俺にしか頼ることができなかった。
勉強自体が初めてだったので最初はやり方を間違ったりもした。
だけど、その度に自分で考え、勉強方法と参考書を見直した。
模試は実力を正確に知るため、勉強していない範囲は解かない、80%以上確信のない問題は空欄で提出した。
偶然とその場限りの正解はいらない。
最終ゴールを思い描き、自分で調べ、考え行動していた。
だけど、頼るものが自分しかいないからストレスも半端なかった。
夜眠るのが怖かった。
朝起きたら同じ毎日を繰り返さなければいけないから。
体温が上がるだけで出る蕁麻疹にもなり、腹の調子も慢性的に悪かった。
それでも俺はとにかく勉強した。
同じ毎日を繰り返した。
be動詞の使い方も理解できるようになった。
文中のwhatの意味もわかるようになった。
最初は分厚いと思った青チャートの残りページがどんどん減っていく。
ただただ、ひたすらに同じ毎日を繰り返す。
2010年10月頃が1年目に模試を受けた最後だったと思う。
その時点までの英語の偏差値は最高59.9。
数学に関しては、模試自体を受けるのが時間の無駄(全範囲に終わってない為)だと思っていたので受けていない。
でも、学習した範囲の基礎的な問題なら解けるようになっていた。
そして、2011年の慶應の入試を迎えた。
1年目に受けたのは以下の3つ。
慶應義塾大学 経済学部
慶應義塾大学 環境情報学部
慶應義塾大学 総合政策学部
全部落ちたよ。
慶應経済は42点足りなかったことをはっきり覚えてる。
だけど希望はあった。
全ての学部で足切りは通った。
経済学部の試験では、英語・小論文は合格ラインを超えていた。
受かる希望は捨てていなかったけど、全ての入試を終えた日の翌日1日だけを完全にオフにし、
その次の日、
合格発表を待たずして勉強を再開した。
1年でここまで来た。
be動詞も知らなかったけど。
やっと普通の浪人生のスタートラインに立てた。
やっと国語も勉強する余裕ができた。
よし、ここからが本番だ。
慶應経済、1年後待ってろよ。
浪人生活2年目が始まった。
次の話
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