慶應受験記_9

2011年3月11日、東日本大震災が起こった。

世間は大変な状況になっていた。

しかし、当時の俺にとってはどうでもよかった。

少し部屋が散らばっただけ。

ニュースなんて見てるヒマはない。

計画停電の対象地域だったが、停電中は懐中電灯の小さな明かりで参考書を読み、勉強を中断するなんてありえなかった。

大変な世間の様相とは対象的に、俺の努力ははっきりと目に見えるよう報われ始めた。

2011年の春に受けた河合塾の模試の結果。

結果の用紙を見た俺は目を疑った。

英語:偏差値76

数学:偏差値68

国語:偏差値55

英数は偏差値60を超えているんじゃないかとは思っていた。

ただ、人生で初めて偏差値60を超えた日が偏差値70を越えた日になるとは思いもしなかった。

あぁ、俺のやり方は間違ってなかったんだ。

自分では成長していると思っていたが、初めて客観的に成長を確信できた。

be動詞も知らなかった。

2次関数も知らなかった。

そんな絶望的な状況からでも努力すれば成績は上がるんだ。

通っている予備校では偏差値60以上の生徒の名前と高校名が順位順に張り出されていた。

そこでも俺は英数、英数国3教科でトップだった。

英語に至っては2位と偏差値10以上の差。

県内で有数の進学校の生徒たちを抑え、低偏差値高校出身の俺の名前がトップにいる。

下剋上だった。

他の予備校生はびっくりしていたんじゃないかな。

たしかに俺は21歳で2浪目だ。

世間的には胸を張れるようなことじゃない。

それでも、俺は嬉しかった。

自分が学力では到底勝てないと思ってた人たちに追いついたんだから。

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